公衆衛生:スクリーンに向かう時間は若者の教育や健康上の転帰に見られるわずかな差と関連する
Nature Human Behaviour
2023年11月13日
小児や青年がスクリーンを介したやりとりに費やす時間は、教育や健康に対する利益とリスクの両方と関連するが、その影響はそれほど大きくないことが、102のメタ解析のレビューで明らかになった。このことを報告する論文が、Nature Human Behaviourに掲載される。
スクリーンの使用は、この数十年間に増えている。これまでの研究では、スクリーン使用と健康、幸福、教育との関連が探られてきたが、一致した結果は得られていない。また、テレビ視聴、ソーシャルメディアの閲覧、ビデオゲームをはじめとするさまざまなタイプのスクリーン使用時間が、さまざまな転帰と関連付けられている。
今回、Taren Sandersらは、2451件の研究と18歳までの参加者193万7501人を含む102のメタ解析から得られた影響についてハーモナイゼーションを行った。そして、そのうちの32のメタ解析(681件の研究を含む)から、統計的確実性に関して事前に設定した基準に適合する43の影響を特定した。次に、得られたデータを元に独自のメタ解析を実施した結果、さまざまなタイプのスクリーン使用と、小児および青年における健康や教育の転帰との間に関連が認められた。これらの転帰には、うつ、体組成、一般的なリテラシーや一般的な学習などが含まれていた。
Sandersらは、スクリーン使用時間との関連について、ネガティブな関連とポジティブな関連の両方の証拠を見いだした。例えば、リテラシーは、スクリーン使用時間の長い小児ではわずかに低かったが、親と共にテレビを視聴する場合は、リテラシーはわずかに高くなることが分かった。健康上の転帰に関しては、デジタル広告は不健康な食事のわずかな増加と関連し、ソーシャルメディアの使用は、うつのリスクのわずかな増加と関連することが判明した。
Sandersらは、これらの知見は、今回の解析に含めるのに十分な質のメタ解析の数が少なかったことから限界があると強調した上で、今後の研究では、スクリーン使用の集約的な影響に注目するよりも、スクリーン使用の内容、文脈、環境を深く検討する必要があると結論付けている。
doi:10.1038/s41562-023-01712-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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