動物行動学:ネコは気分が乗れば「取って来い」ゲームをしてくれる
Scientific Reports
2023年12月15日
ネコの飼い主(924人)を対象とした質問票調査から、ネコの「取って来い」ゲームはネコが主導することが多く、ネコは明示的に教えられなくても取って来いゲームを覚えたことが判明した。このことを報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。今回の調査では、ネコが取って来いゲームに好んで用いるさまざまな道具(例えば、ヘアゴムや瓶の部品)も明らかになった。
今回、Jemma Forman、Elizabeth Renner、David Leavensは、現在飼っているネコと以前に飼っていたネコ(合計1154匹)の取って来いゲーム行動について回答した飼い主の調査を行った。飼い主は、このゲームに関して、初めて行った時の状況、1カ月当たりの回数とネコが好む遊び道具、誰がゲームの開始と終了を決めるのが通例だったかについて回答した。
その結果、取って来いゲームをしたことのあるネコ全体の59%は、その頻度が1カ月当たり1~10回であり、一番最近のゲームで飼い主が投げた物を取って来るのが1~5回だったネコが55%を占めたことが判明した。このゲームを始めたりやめたりすることを決めるのは、飼い主よりネコであることが多かった。そして、ネコが主導して取って来いゲームが始まった場合は、飼い主が主導した場合と比べて、一番最近のゲームで飼い主が投げた物を取って来る回数が多く、ゲームの時間が長かった。また、飼い主がゲームをやめる決定をするのが通例になっている場合にも、一番最近のゲームで飼い主が投げた物を取って来る回数が多く、ゲームの時間が長かった。以上の結果を総合すると、ネコが取って来いゲームを主導する傾向があり、飼い主がやめるまでゲームを続けていると考えられる。
調査対象となった飼い主の94%は、飼いネコが明示的な訓練を受けずに取って来いゲームを始めたと回答しており、最初の取って来いゲームは仔ネコ(1歳未満)の時と回答した飼い主は全体の61%だった。一部の飼い主は、飼いネコが他の動物から学習した可能性があると回答したが、取って来いゲームをしたことのあるイヌや他のネコと一緒に暮らしていたネコは全体のわずか23%だった。純血種と判定された160匹のネコのうち、取って来いゲームをする種として最も多く回答されたのがシャムネコの36匹で、次いでベンガル(16匹)とラグドール(12匹)が多かった。また、ネコが好んだゲーム用具、お気に入りのゲーム相手(家族の一員)、ゲームを行うお気に入りの場所には、個々のネコの好みが表れていることも分かった。お気に入りのゲーム用具としては、ネコ用おもちゃが全体の40%弱で、家庭内で使われている物品(例えば、ヘアゴムや瓶の部品)と飼い主がたまたま紙を丸めて作ったボールのような物体が過半数を占めた。このゲームは寝室と階段で頻繁に行われた。
今回の知見は、ネコと飼い主の取って来いゲームをネコが主導する傾向があることを示唆しており、ネコの取って来いゲーム行動に個体差があることを明確に示している。
doi:10.1038/s41598-023-47409-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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