技術:ロボット義足からもっと自然な感覚が得られるようにする
Nature Communications
2024年2月21日
ロボット義足をつけたときに得られる感覚をもっと自然な感覚に近づけるための新しい方法について報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。この方法は、これまでの技術と比較して、ロボット義足を使用している患者の可動性を改善し、必要な精神的努力を軽減することが明らかになった。著者らは、今回の知見は、義足を使用している人がよりリアルな感覚を得る上で役立つ可能性があると述べている。
外傷や神経疾患があると、脳と体の間の情報伝達が乱され、本人が自然な感覚を得る能力が低下する。義肢やロボット義肢は、神経系と接続させることで脳との情報伝達を実現できるが、触覚などの感覚を自然な感覚として引き起こすことが難題になっている。
今回、Stanisa Raspopovicらは、ロボット義足を使用して歩行する際に得られる感覚をもっと自然な感覚に近づけるために、生体系からヒントを得て、神経ロボット刺激プロトコルを設計した。Raspopovicらは、次に、神経インプラントを埋め込んだ下肢切断患者3人を対象として、このプロトコルを検証した。これらの患者が課題(例えば階段を上ること)を実行しているときに評価が行われ、神経機能を代替する義足を付けた患者は、階段を速く上れるようになり、自信がついたと自己報告した。Raspopovicらは、足裏のニューロンを再現する計算モデルから導出された生体模倣神経刺激を行ったところ、患者が歩行中に他のことに集中できるようになり、脳への負担が減ったと述べている。
Raspopovicらは、このように自然から着想した新技術は、自然の神経機能を模倣するために役立ち、感覚体験の基本的な側面を回復させることで、疾病に罹患したり負傷したりした後の四肢切断者やその他の患者を支援できる可能性があるという見解を示している。
doi:10.1038/s41467-024-45190-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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