遺伝学:ホタルの発光器の発生と発光制御を遺伝学的に解明
Nature Communications
2024年3月6日
ホタルの発光器の発生機構と光の明滅を制御する機構を明らかにしたことを報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。今回の研究で、ホタルの発光器の発生と進化に遺伝的調節因子とペルオキシン酵素がどのように関わっているかを解き明かす知見が得られた。
発光器はホタルの特徴的な明滅行動に寄与しており、明滅行動は、幼虫が捕食者を撃退するために利用され、成虫が求愛行動をとる際のコミュニケーションにも役立っている。ホタルは、それぞれの種に固有の明滅パターンを使って適切な交尾相手を見つけており、同期明滅をする種としない種がある。しかし、成虫の発光器がどのように形成するかは明らかになっていない。
今回、Xinhua FuとXinlei Zhuは、水生ホタルの一種であるAquatica leiiのゲノムを解読し、その発光器の発生と生物発光の仕組みを遺伝学的に解き明かした。著者らは、昆虫の発生において機能を果たすことがよく知られたホメオボックス遺伝子ファミリーの複数の因子が、成体の発光器の形成にも非常に重要であることを明らかにした。これらの遺伝子は、まず発光器を腹部内に正しく配置するために役立ち、さらに、光の生成に重要な遺伝子(ルシフェラーゼ、ペルオキシンなど)の発現をオンにする。
今回の知見は、ホタルの発光器がどのように形成され、発光が制御されるかについての理解を深めると考えられる。
doi:10.1038/s41467-024-45559-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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