材料:おもちゃのブロックに着想を得た液体ベースのデバイス組み立て
Nature Chemical Engineering
2024年2月6日
小さな直立柱状構造体(ピラー)が整列した基板上で、構成要素である液滴をつなげていくことで、液体ベースのデバイスをオンデマンドで迅速に組み立てられることを実証した論文が、Nature Chemical Engineeringに掲載される。この方法は、おもちゃのブロックに着想を得たもので、電池、小型反応容器、ポイント・オブ・ケア検査用デバイスなどの流体デバイスを数分で構築するための再構成可能なモジュール式手段を提供する。
従来の液体ベースのデバイスは、高コストで製造に時間がかかり、液体を閉じ込めるためにあらかじめ設計された固体壁が用いられており、また液体挙動を微調整するために複雑な毛管ベースの構造が組み込まれることが多い。このことは、特に迅速な決定が求められる状況において、デバイスの再構成能力に影響を及ぼす。
今回Xin Duらは、おもちゃのブロックのように液滴をつなげたり切り離したりすることで液体デバイスを構築する方法を開発した。このデバイスは、シリコン油中で定温放置された複数のピラーを有する基板上に液滴がユニットとして正確に配置されることで、二次元や三次元の形状をとる。Duらは、隣接する混和性液体ユニット同士は混ざり合ってつながるが、非混和性ユニットは混ざり合わず別々のユニットを形成することを示した。Duらは、3Dプリンターを用いて液滴ユニットを正確に配置することで、さまざまな形状と組成の液体デバイスを数分で構築した。これらの構造は、テフロン様の紙を用いて切断できる。
Duらは、この手法を用いて、電池や小型反応器、医療診断に使用できるポイント・オブ・ケア検査(臨床現場即時検査)用デバイスの構築を実証し、今回の方法を用いればデバイス構造が数分で構築できると述べている。
doi:10.1038/s44286-023-00023-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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