技術:発話を補助する新しいシステム
Nature Communications
2024年3月13日
機械学習を利用して喉の筋肉の動きを音声に変換するソフトパッチについて報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。著者らは、さらに開発が進めば、このデバイスは、一部の音声障害患者が効果的にコミュニケーションをとるのに役立つ可能性があると述べている。
発話は、人間の交流の重要な側面の1つだが、声帯の機能不全を起こした人は、発話が困難となる場合がある。一般集団において、約30%の人が一生のうち一度は音声障害を経験するにもかかわらず、既存の解決策(手持ち式の電気喉頭デバイスや手術など)は、不便、不快、または侵襲的な場合がある。患者のコミュニケーションを補助するウエアラブルで非侵襲的な医療用デバイスを開発する必要がある。
今回、Jun Chenらは、喉に貼りつける軟質の磁気弾性パッチを設計した。このパッチは、発声に関連する喉の筋肉の動きに合わせて形状が変化し、その際に声帯が機能している必要はない。このパッチの動きによって特定の筋肉の動きが検出されるだけでなく、電力も生成されるため、このデバイスは自己給電式となった。このパッチの動きは電気信号に変換され、単語を認識して音声信号に変換するように訓練された機械学習アルゴリズムによって処理される。Chenらは、このパッチを音声障害のない被験者(8人)に装着し、立っている時、歩いている時、走っている時に「Merry Christmas」や「I love you」などの単語やフレーズを発音してささやくように指示し、このパッチの使用を実証した。その結果、このデバイスは約95%の精度で作動した。
今後、患者を対象とした検証が行われれば、このデバイスが音声障害の患者にとって実用的な解決策となり、全体的な生活の質を高めるために役立つ可能性がある。
doi:10.1038/s41467-024-45915-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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