農業:ニシキヘビの養殖は持続可能性の高い食肉の供給源になるかもしれない
Scientific Reports
2024年3月15日
タイとベトナムの2つの養殖場におけるニシキヘビの成長速度の分析から、養殖されたニシキヘビの肉は、食肉の代替品として、他の養殖肉よりも持続可能性が高いと考えられることが明らかになった。このことを報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。今回の知見から、アミメニシキヘビ(Malayopython reticulatus)とビルマニシキヘビ(Python bivittatus)が、12カ月間で急速に成長し、他の家畜動物ほど頻繁に食餌を必要としないことが示された。
環境圧と人口圧は、従来の農業システムに影響を与えている。畜産においては、魚類や昆虫類のような冷血動物(外温動物)は、ウシや家禽のような温血動物(内温動物)よりもエネルギー効率が著しく高い。ヘビ肉のような一部の内温動物性食品は、伝統的に摂取されてきたアジアの一部の国々で人気が高まっているが、業界の規模はまだ小さい。
今回、Daniel Natuschらは、タイのウッタラディット県とベトナムのホーチミン市に所在する2カ所のニシキヘビの養殖場で、合計4601匹のアミメニシキヘビとビルマニシキヘビの成長速度に関する研究を行った。これらのニシキヘビは、12カ月間にわたって、地元で調達されたさまざまなタンパク質(野生で捕獲された齧歯類や魚粉など)を週1回の頻度で与えられ、定期的な計測と体重測定が行われ、その後、安楽死させられた。この研究で、これらの2種類のニシキヘビの成長が速く、体重が1日で最大46グラム増え、雌の成長速度の方が雄よりも高いことが判明した。また、食餌の摂取量に加えて、ヘビの生後2カ月間の成長速度が、その後の体サイズを予測するための最良の指標となることが分かった。
Natuschらは、ホーチミン市の養殖場の58匹のビルマニシキヘビを対象として、さまざまなタンパク質源(鶏肉、豚肉廃棄物、齧歯類、魚粉など)の組み合わせを試験し、摂取した食餌4.1グラムごとに1グラムのニシキヘビ肉を収穫できることを明らかにした。この食物変換比は、ニシキヘビに与えたさまざまな飼料の間で有意差は見られず、タンパク質変換率は、これまでに研究対象となった他の家畜よりも高かった。さらに、これらのビルマニシキヘビの61%は、20~127日間にわたって給餌を停止しても、その間に体重はほとんど減少しなかった。
Natuschらは、以上の知見は、ニシキヘビの商業養殖が、実行可能で持続可能な食料生産の選択肢となり、既存の家畜システムを補完する可能性があることを示していると述べている。また、Natuschらは、この新しい家畜群を生産するための最も効果的で人道的な方法に関するさらなる研究が必要だと強調している。
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シュプリンガー・ネイチャーは、国連の持続可能な開発目標と、学術論文誌や書籍に掲載されている関連情報や証拠の認知度を高めることに尽力しています。このプレスリリースに記載されている研究は、SDG 2(飢餓をゼロに、Zero Hunger)に関係しています。詳細については、こちらを参照してください。(https://press.springernature.com/sdgs/24645444 )
doi:10.1038/s41598-024-54874-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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