動物行動学:鳴き鳥のさえずりスタイルは配偶者探しに役立つ
Nature
2024年3月21日
雄のキンカチョウ(Taeniopygia guttata)が配偶者を獲得するためには、求愛歌のさえずり方を習得する必要があることを示した論文が、Natureに掲載される。キンカチョウの場合、雌が配偶者を選ぶ際に影響を与えるのは、さえずりの音節(個々の音)の分散であることが、今回の研究で示された。
多くの鳴禽類種で、雄の発声レパートリーが充実し、さまざまなさえずりができるようになり、発声レパートリーの個体差も生じているのは、雌の好みのためだと考えられている。しかし、鳴禽類種の約3分の1は1通りのさえずりしか習得しない。全ての雄個体が同じさえずりをしている場合に、雌が雄をどのように評価するかは分かっていない。
今回、Todd Robertsらは、鳴禽類種の雌が雄個体を区別する際に雄のさえずりをどのように用いているかを調べるため、雄のキンカチョウのさえずりから数千点の音節を録音した。そしてRobertsらは、さえずりの音を分別、分類して分析するための深層学習ツールを開発し、さえずりの音節(約50万点)のマッピングを行った。さえずりの構造を詳細に分析したところ、雌が敏感に感じ取る特徴は、さえずりの連続した音節の分散であり、雌は音節と音節の間の「経路長」が長いさえずりを好むことが明らかになった。Robertsらは、この特徴を手本となる別の個体から学ぶことは雄にとって難易度が高いため、このスタイルを習得することは雄の質の高さを示す指標となる可能性があるという考えを示している。
以上の知見は、鳴禽類の求愛歌がどのように進化したか、また、さまざまな鳴禽類種において性選択のための戦略がどのように発達したかを洞察するための手掛かりになる。
doi:10.1038/s41586-024-07207-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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