生態学:森林管理の認証制度が哺乳類の大型種と絶滅危惧種の保護に役立っている
Nature
2024年4月11日
責任ある森林管理認証制度が適用されている地域に生息する哺乳類は、未認証の管理森林に生息している哺乳類と比べて、個体数が多く、狩猟の脅威が低いことを示した論文が、Natureに掲載される。この知見は、赤道アフリカ西部の伐採林での観察結果に基づいており、こうした認証制度が、大型の哺乳類種と保存優先度の高い哺乳類種のために特に役立つことを示唆している。
世界の熱帯林の4分の1以上で商業伐採が行われている。そして、木材搬出のために舗装された道路は、かつて人里離れた地域だった場所で、違法かつ持続不可能な狩猟が行われる可能性を生じさせている。森林管理協議会(FSC)は、それぞれの地域の法律と国際法に準拠した持続可能な森林管理方法を推進し、生物多様性を保全することを目指している。
今回、Joeri Zwertsらは、FSC認証を受けた森林管理の影響を評価するために、14カ所の森林伐採権地域のデータを調べた。このうち7カ所はFSC認証を受けた地域で、残りの7カ所は認証を受けていない地域だった。Zwertsらは、474カ所のカメラトラップ地点で撮影された130万枚の写真のデータを使って、55種の哺乳類を検出した。Zwertsらのデータから、FSC認証を受けた森林管理によって、FSC認証のある森林伐採権地域での哺乳類全体の個体数が1.5倍になっていることが示唆された。体重10キログラム超に分類される大型哺乳類の遭遇率は、FSC認証のある森林伐採権地域で高く、FSC未認証の森林伐採権地域の2.7~3.5倍に達していた。国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種レッドリストで「深刻な危機」に分類されている動物(マルミミゾウやニシローランドゴリラなど)が観察される頻度も、FSC認証のある森林伐採権地域の方が高かった。FSC認証を受けた地域では、FSC未認証の地域よりも狩猟の兆候が少なかった。
一方、体重10キログラム以下の哺乳類(齧歯類など)については、FSC認証地域とFSC非認証地域における遭遇率に顕著な差はないことが明らかになった。FSC非認証地域では小型の動物が占める割合が大きくなっており、捕食者と競争相手がいないことを示唆している。
以上の知見は、FSC認証制度が、森林伐採地域に生息する哺乳類の大型種と絶滅危惧種に大きなプラスの影響を与えることを示している。Zwertsらは、伐採されていない森林は引き続き保護されるべきだが、伐採領域が存在する森林では、森林とその生物多様性を保護するために責任ある管理が追求されるべきだと結論付けている。
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シュプリンガー・ネイチャーは、国連の持続可能な開発目標と、学術論文誌や書籍に掲載されている関連情報や証拠の認知度を高めることに尽力しています。このプレスリリースに記載されている研究は、SDG 12(つくる責任つかう責任、Ensure sustainable consumption and production patterns)およびSDG 15(陸の豊かさを守ろう、Life On Land)に関係しています。詳細については、こちらを参照してください。(https://press.springernature.com/sdgs/24645444 )
doi:10.1038/s41586-024-07257-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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