古生物学:インドで発見された化石は新属新種の古代の大蛇だった
Scientific Reports
2024年4月19日
約4700万年前のインド亜大陸(現在のグジャラート州に当たる地域)に生息していたと考えられる古代の新属新種のヘビ(Vasuki Indicus)が、史上最大級の大きさのヘビであった可能性があることを報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。この新種のヘビは、推定体長が11~15メートルに達し、既に絶滅したMadtsoiidae科に属するが、インドを起源とする別の系統であることが判明した。
今回、Debajit DattaとSunil Bajpaiは、Panandhro褐炭鉱(インド・グジャラート州カッチ)で新たに発見され、約4700万年前の中期始新世のものと年代決定された化石標本について記述している。この新種のヘビは、ヒンドゥー教の神シヴァの首に巻き付いている神話上のヘビと発見国インドにちなんで、Vasuki Indicusと名付けられた。著者らは、27点の椎骨化石(ほとんどが良好な保存状態)について記述しており、そのうちのいくつかは関節が連結した状態で、十分に成長した個体であったと考えられる。
椎骨の長さは37.5~62.7ミリメートル、幅は62.4~111.4ミリメートルで、このヘビの体が幅広い円筒形だったことを示唆している。このことから著者らは、V. Indicusの体長が10.9~15.2メートルに達していたと推定している。この体長は、実在した既知のヘビの中で最も長いティタノボア(Titanoboa)に匹敵するが、著者らはこれらの推定値に不確実性が含まれると指摘している。さらに著者らは、V. Indicusが大きなサイズであったため、アナコンダに似た動きの遅い待ち伏せ捕食者であったと推測している。
著者らは、V. Indicusについて、後期白亜紀から後期更新世までの約1億年間存在し、地理的に広い範囲(アフリカ、ヨーロッパ、インドなど)に生息していたMadtsoiidae科動物の一種と特定した上で、インド亜大陸に最初に出現し、約5600~3400万年前の始新世に南ヨーロッパを経由してアフリカへと広がったMadtsoiidae科の大型種の系統だとする見解を示している。
doi:10.1038/s41598-024-58377-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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