Research Press Release
TRPA1タンパク質を介したパラセタモールの鎮痛作用
Nature Communications
2011年11月24日
ある種のカンナビノイドとパラセタモールの代謝物が、チャネルタンパク質TRPA1を活性化させることによって、鎮痛作用を仲介していることが明らかになった。このチャネルを活性化させる他の薬物を同定できれば、有用な鎮痛薬に結びつく可能性が示唆されている。 今回、E Hogestattたちは、TRPA1を欠損したマウスを用いた研究で、アセトアミノフェン(別名:パラセタモール)の鎮痛作用を成立させるうえでTRPA1が必要なことを明らかにした。そして、パラセタモールの複数の代謝物がこのチャネルを活性化し、これらの代謝物の1つがマウスの脊髄に存在することを明らかにした。このことは、鎮痛作用をもたらすTRPA1活性化の部位が脊髄であることを示唆している。また、Hogestattたちは、TRPA1を活性化させることが知られるΔ9-テトラヒドロカンナビオコール(カンナビノイド誘導体の一種)もマウスに鎮静作用をもたらすことを明らかにした。このことは、Δ9-テトラヒドロカンナビオコールやそのほかの毒性をもたらさない薬剤(例えば、パラセタモール)が痛みの治療に有用である可能性を示唆している。
doi:10.1038/ncomms1559
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
生物学:全ヒト細胞アトラスの作成Nature
-
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
健康科学:イカに着想を得た針を使わない薬物送達システムNature
-
化学:光を使って永遠の化学物質を分解する新しい方法Nature
-
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications