惑星科学:金星で発見された最近の広範囲に及ぶ火山活動
Nature Astronomy
2024年5月28日
金星の2つの異なる領域で火山溶岩流の形成が観測され、金星の火山活動がこれまで考えられていたよりも活発で広範囲に及んでいる可能性が示唆されたことを報告する論文が、Nature Astronomyに掲載される。今回の知見は、金星が現在も火山活動を行なっていることを示すこれまでの証拠を裏付けるものである。
金星の厚い大気は、惑星表面の直接的な観測を困難にしている。1990年代にマゼラン探査機によって行われたレーダーによる全球の地形図作製により、金星の表面は多くの火山で覆われ、これらは過去に広範な火山活動によって形成された可能性が高いことが示されたものの、金星の地質学的な現在における火山活動の役割は不明なままだった。しかし昨年、マゼラン探査機によるデータから、金星表面のある火口からつい最近の火山活動を示す証拠が得られた。
今回、Davide Sulcaneseらは、1990年と1992年に得られたマゼラン探査機の2組のレーダーのデータを解析し、火山活動の証拠を探した。その結果、Sulcaneseらは、シフ山の西側側面およびニオベ平原の西側に位置し、火山に関係した特性が存在する2つの領域で、火山活動を示す可能性がある表面の変化を発見した。Sulcaneseらは、さまざまな可能性のある原因を解析した結果、これらの変化が新しい溶岩流によって引き起こされた可能性が高いと考えている。
Sulcaneseらは、金星が現時点で地質学的に活発な惑星であり、現在の火山活動がかなり広範囲に及んでいるとする考えを示している。また、Sulcaneseらは、金星の火山活動が地球の火山活動に匹敵し、金星はこれまで考えられていたよりも活発に火山活動をしていると示唆している。
doi:10.1038/s41550-024-02272-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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