地球科学:地球の水循環が40億年前に始まっていた証拠
Nature Geoscience
2024年6月4日
海水面上に現れた淡水と陸地塊に関する最古のものと考えられる証拠から、地球の水循環は、少なくとも40億年前には始まっていた可能性があることを報告する論文が、Nature Gescienceに掲載される。
地球上の水は、水循環というシステムの中で、蒸発や降水などの過程を通して、陸地、海洋、大気の間を移動している。地球史の初期には、淡水の利用可能性と水循環の開始が、初期生命の発達に必要な環境に寄与していた可能性がある。しかし、水循環がいつ始まったかはよく分かっていない。
今回、Hamed Gamaleldienらは、西オーストラリアのジャックヒルズで得られた鉱物で、32~42億年前に地球の初期の大陸塊を構成していた岩石の中で形成されたジルコンの酸素組成を測定した。これらのジルコンの酸素同位体組成の分析の際に、Gamaleldienらは、高温の溶けた岩石が形成時に水と接して成長した証拠が保存されていることを見いだした。Gamaleldienらは、ジルコン組成の計算機シミュレーションを用いて、淡水と海水の組み合わせが、ジルコンが形成された高温の溶けた岩石と混合した可能性が高いことを示している。Gamaleldienらは、この時点で地球の表面には淡水が存在しており、水循環の始まりは少なくとも40億年前であった可能性があるとする考えを示している。
Gamaleldienらは、大陸地殻の出現、淡水の存在、そして水循環の開始が、地球形成後6億年以内に生命に必要な環境の発達を促進した可能性があると指摘している。
doi:10.1038/s41561-024-01450-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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