動物学:帆翔する鳥類が揚力を生み出すために役立つ呼吸器構造
Nature
2024年6月13日
帆翔する鳥類は、胸部の気嚢を膨らませて飛翔方式の効率を高めるのに役立てている可能性があることを報告する論文が、Natureに掲載される。この知見は、一部の鳥類において、呼吸器系が翼の飛翔筋と機能的に関連していることを示唆している。
鳥類の呼吸器系は、動力飛行を行う能力を高めることが知られているが、帆翔する鳥類における呼吸器系の役割は、まだ分かっていない。一部の鳥類が持っている胸筋下憩室(SPD)は、呼吸器系の延長線上にあり、羽ばたきに関与する主な筋肉の間に潜り込んでいて、翼の下に気嚢系を形成している。
今回、Emma Schachnerらは、SPDの機能的役割をより深く理解するために、68の鳥類種(アカオノスリやアレチノスリなど)の呼吸器系を調べた。その結果、SPDは、今回の研究で調べたほとんど全ての帆翔する鳥類に存在するが、帆翔しない鳥類には存在しないことが分かった。Schachnerらは、SPDは、帆翔する鳥類が帆翔時の翼を支えるのに関与しているという見方を示している。また、SPDは、換気に重要ではないことが分かった。さらに、SchachnerらはSPDの進化を調べて、SPDが帆翔と共に少なくとも7回独立に進化したことを明らかにし、SPDが帆翔方式と機能的関係と適応的関係を持つ可能性があることを示した。
今回の知見は、帆翔する鳥類の翼の飛翔筋と呼吸器組織が機能的に関連していることを示す初めての証拠の一部となる可能性がある。
doi:10.1038/s41586-024-07485-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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