食物学:男性が女性より頻繁に肉を食べる国はジェンダー平等のレベルが高い
Scientific Reports
2024年6月14日
男性は女性よりも頻繁に肉を食べる傾向があり、肉の消費頻度のジェンダー差は、ジェンダー平等と社会・経済発展のレベルが高い国ほど大きくなる傾向があることを示した研究について報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。論文の著者らは、こうした傾向が見られるのは、これらの国の人々の方が食べ物の好みを表明できる機会が多いからかもしれないという見解を示している。
今回、Christopher Hopwoodらは、社会・経済発展のレベル(平均余命、学校教育修了年数、国民総所得によって評価される)とジェンダー平等のレベル(経済参画、教育レベル、政治参画、健康と生存率によって評価される)が異なる国々の肉の消費量の男女差を調査した。Hopwoodらは、2021年に北米、南米、ヨーロッパ、およびアジアの計23カ国の被験者2万802人から収集された調査データを解析した。この調査の参加者は、自分のジェンダーと肉を食べる頻度を回答した。
Hopwoodらは、中国、インド、インドネシアを除く国々で、男性が女性よりも頻繁に肉を食べる傾向があることを明らかにした。肉の消費量の男女差は、ジェンダー平等と社会・経済発展のレベルが高い国ほど大きくなる傾向があり、男女差が最も大きかったのがドイツ、アルゼンチン、ポーランド、英国だった。また、男女平等と社会・経済発展のレベルが高い国出身の男女の方が、社会・経済発展のレベルが低い国の男女よりも肉を食べる頻度が高い傾向があることも明らかになった。全体的な肉の消費量が最も多かったのは、タイ、中国、米国、スペインだった。
Hopwoodらは、ジェンダー平等と社会・経済発展のレベルが高くなると、女性が肉を食べる頻度を減らすという選択をする自由が増し、男性が肉を購入して食べる頻度が高まるという考えを示している。また、今回の知見は、肉の消費量の削減を奨励して畜産が環境に与える影響を低減する戦略について、社会・経済発展のレベルの違いに応じて異なった戦略を策定する必要があることを示している。Hopwoodらは、消費者が植物ベースの代替肉や培養肉(研究室で培養された肉)を食べる機会を増やすという手法は、社会・経済発展のレベルの高い国々で高い効果が得られる可能性があると提案している。また、植物ベースの代替肉や培養肉を生産することにインセンティブを与えるという手法は、社会・経済発展のレベルの低い国で高い効果が得られる可能性がある。
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シュプリンガー・ネイチャーは、国連の持続可能な開発目標と、学術論文誌や書籍に掲載されている関連情報や証拠の認知度を高めることに尽力しています。このプレスリリースに記載されている研究は、SDG 12(つくる責任つかう責任、Ensure sustainable consumption and production patterns)に関係しています。詳細については、こちらを参照してください。(https://press.springernature.com/sdgs/24645444 )
doi:10.1038/s41598-024-62511-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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