古生物学:ブラジルで発見されたワニに似た古代の小型爬虫類の新種
Scientific Reports
2024年6月21日
ブラジルで発見された古代の捕食性爬虫類の新種について報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。この新種(Parvosuchus aurelioiと命名された)は、ワニに似た爬虫類系統群である偽鰐類に属している。この標本は、中~後期三畳紀(約2億3700万年前)のものと年代決定された。小型の捕食性爬虫類種がブラジルで発見されたのは、これが初めてだ。
恐竜が優勢となる前の三畳紀(2億5200万年前~2億100万年前)において、偽鰐類は古代の四足爬虫類の一般的な形態であり、この系統群には、当時最大の肉食動物も含まれていた。この頂点捕食者のそばで暮らしていたのが小型の偽鰐類のグラキリスクスで、これまでに中国やアルゼンチンなどの地域で発見されている。
今回、Rodrigo Müllerは、ブラジルのサンタマリア累層で発見された標本を基に、グラキリスクスの新種を発見したことを報告している。この部分骨格標本は、約2億3700万年前のものと年代決定され、下顎を含む完全な頭蓋骨、11個の胸椎、骨盤と、部分的に保存された四肢で構成されている。Müllerは、この新種をParvosuchus aurelioiと命名した。この名称は、parvus(小型)とsuchus(ワニ)に由来し、この化石試料を発見したアマチュア古生物学者Pedro Lucas Porcela Aurélioの栄誉をたたえている。
頭蓋骨は、長さ14.4センチメートルで、細長い顎と後方に曲がった尖った歯に加えて、頭蓋骨のいくつかの開口部を特徴としている。骨格は、きゃしゃで細身で、全長1メートル未満と推定されている。これらの特徴から、P. aurelioiはグラキリスクスの一種に分類され、これによって、P. aurelioiはブラジルで初めて確認されたグラキリスクスとなった。Müllerは、今回の知見は、三畳紀の偽鰐類の多様性を浮き彫りにしていると付言している。
doi:10.1038/s41598-024-63313-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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