医学:敗血症のより迅速な検査
Nature
2024年7月25日
敗血症症例に関与する病原体を特定するための新しい方法が、今週Natureに掲載される。この検査は、感染症の治療法開発に通常必要とされる時間を短縮し、患者の転帰を改善する可能性がある。
敗血症は、感染症によって引き起こされる免疫反応の異常であり、世界的に見ても主要な死因のひとつである。抗菌薬感受性試験(AST;antimicrobial susceptibility testing)を用いて患者固有の治療法を開発することができるが、血液培養サンプルが必要なため、通常2–3日かかり、その間に医師は広域なスペクトラムの抗生物質を使用しなければならない。抗菌薬感受性検査の所要時間を短縮する方法を見つけることは、敗血症による死亡リスクを減少させ、不必要な抗生物質の使用を減らすために極めて重要である。
Sunghoon Kwonらは、全血検体を用い、培養の必要性を減らした超高速抗菌薬感受性試験法を発表した。合成ペプチドを用いて血液から直接広範囲の病原体を回収し、それを同定して薬剤感受性を検査する。著者らは、この手法により、既存の市販の方法と比較して、検査の所要時間を40–60時間以上短縮できる可能性を示している。著者らは、感染症が疑われる190人の入院患者を登録し、臨床の場でこの方法を検証した。その方法は、菌種同定において100%の一致率を達成した。陽性症例6例のレトロスペクティブ(遡及)解析では、最初の血液処理から検査の平均所要時間は約13時間であった。
著者らは、この結果を検証するためには、多様なコホートにおいてさらなる臨床的検証が必要であるとしている。しかし、この結果は、この方法が、敗血症の治療に要する時間と、広域スペクトラム治療中に使用される不必要な抗生物質の量の両方を削減する可能性があることを示唆している。
Kim, T.H., Kang, J., Jang, H. et al. Blood culture-free ultra-rapid antimicrobial susceptibility testing. Nature (2024).
doi:10.1038/s41586-024-07725-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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