天文学:JWSTが観測した巨大惑星
Nature
2024年7月25日
近隣の約35億年前に誕生した太陽型星を周回する「スーパー木星」巨大系外惑星の発見を報告する論文が、Natureに掲載される。JWST(James Webb Space Telescope;ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡)による観測は、この恒星を周回する惑星が存在するという過去の予測に基づいて行われた。しかし、新たに発見された惑星の性質は、この星系に関するこれまでの分析とは異なっている。
地球からわずか3.6パーセク(1パーセクは、約3.3光年)しか離れていないEpsilon Indi A(イプシロン・インディA)は、主系列星(水素燃焼星)であり、太陽(G型黄色矮星)よりもわずかに低い温度で燃焼するオレンジ色の矮星である。この恒星に関するこれまでの分析から、巨大惑星が存在する可能性が指摘されていたが、直接の観測は行われていなかった。Elisabeth Matthewsらによって報告されたJWSTによる惑星の直接撮像は、この系の性質に新たな洞察を与える。
観測された惑星は、非常に明るく冷たく、その温度は約275K、質量は木星の6倍以上である。この惑星は現在、15天文単位(au、1 auは地球と太陽の平均距離)の距離にあり、少なくとも数十年の公転周期が予測されている。この惑星の性質は、以前に予想されていた「惑星b」とは異なっており、著者らはこの新しい惑星に「惑星b」の名前を再び割り当てて、 Eps Ind Abと命名した。今回のデータは、この惑星がこの星系で唯一の巨大惑星であることを示していると、著者らは結論付けている。
Matthews, E.C., Carter, A.L., Pathak, P. et al. A temperate super-Jupiter imaged with JWST in the mid-infrared. Nature (2024).
doi:10.1038/s41586-024-07837-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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