心理学:ビデオゲームは精神的幸福感に良い影響を与えるかもしれない
Nature Human Behaviour
2024年8月20日
ビデオゲーム機を所有し、ゲームプレイに参加することが、精神的幸福感にプラスの影響を与える可能性があることを報告する論文が、Nature Human Behaviourに掲載される。本研究は、日本の97,602人のデータに基づいている。
一般的には、ビデオゲームは幸福感に悪影響を及ぼすとよく信じられており、世界保健機関(WHO;World Health Organization)はゲーム障害を健康問題として認定している。しかし、ビデオゲームとメンタルヘルスの関係に関する既存の科学的証拠のほとんどは、強い関連性を立証しておらず、最近の観察研究では、プラスの影響とマイナスの影響の両方が記録されている。
2020年から2022年にかけてゲーム機の不足により、日本の小売業者は抽選によって2種類の異なるゲーム機を消費者に割り当てた。江上 弘幸(えがみ ひろゆき)らは、このランダムな分布を利用して、ビデオゲームが精神的な苦痛や生活満足度に与える影響を評価した。
著者らは、日本の全都道府県に住む10–69歳の97,602人(うち8,192人が抽選に参加)を対象に調査を行い、回答者の抽選への参加状況、ゲーム機の所有状況、ゲームの嗜好、メンタルヘルス、生活満足度、社会人口統計学的特性に関する情報を収集した。調査データの因果推論用に設計された機械学習アルゴリズムなど、さまざまなアプローチを用いて、ゲーム機をいずれか1台所有すること、およびいずれか1台でゲームをプレイすることの両方が、メンタルヘルスを改善することを発見した。しかし、1日3時間以上ビデオゲームをプレイした参加者では、追加の効果が減少していた。ゲーム機の所有は、生活満足度を向上させ、心理的苦痛を軽減することも示された。
江上らは、COVID-19のパンデミック中にデータを収集したことが調査結果に影響を与えた可能性があることに注意を促している。しかし、今回の研究結果は、スクリーンタイムが精神的幸福感に及ぼす複雑な影響を浮き彫りにし、スクリーンタイムの差による影響を考慮する必要性を示唆している。
Egami, H., Rahman, M.S., Yamamoto, T. et al. Causal effect of video gaming on mental well-being in Japan 2020–2022. Nat Hum Behav (2024).
doi:10.1038/s41562-024-01948-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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