Research Press Release
ネアンデルタール人と現生人類の脳の比較
Nature Communications
2011年12月14日
現生人類(Homo sapiens)の脳とネアンデルタール人の脳を比較したところ、現生人類の脳底部に独特な構造があることが明らかになった。ネアンデルタール人と現生人類という2つの遺伝的に異なる進化系統からは、同じように大型の脳をもつヒト種が生じたが、今回の研究によって、脳領域の再編成が異なっていることが判明し、このことと頭蓋骨の全体的な形状が、現生人類の学習能力と社会性に寄与した可能性がある。 M Bastirたちが今回行った、現生人類とネアンデルタール人の頭蓋骨の三次元表面形状解析により、現生人類の嗅球のほうが大きいことなどの独特な特徴が明らかになった。嗅球が大きいことは、現生人類のほうが高度な臭覚系を備えていたことを示唆しており、このことが、現生人類の神経と行動の進化に影響を与えた可能性が考えられる。
doi:10.1038/ncomms1593
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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