古生物学:古代サンゴから共生関係の初期の証拠を発見
Nature
2024年10月24日
サンゴと光合成を行う藻類(光合成共生生物)の共生関係は、少なくとも3億8,500万年前のデボン紀まで遡るという研究結果を報告する論文が、Natureに掲載される。これは、初期のサンゴ礁生態系を理解する上で重要である。
現存するサンゴはすべて、三畳紀(約2億5,000万年前)に進化を遂げた造礁サンゴ類と呼ばれるグループに属している。これらのサンゴには、栄養素の循環に重要な役割を果たす共生生物(例えば光合成共生生物)が生息している場合があり、栄養素が乏しい海域では特に有益である。しかし、それ以前に絶滅したサンゴの種類に光合成共生生物がいたかどうかは明らかになっていない。
Jonathan Jungおよび Alfredo Martínez-Garcíaらは、デボン紀のサンゴ礁から発見された2種類の絶滅したサンゴグループ(床板〔tabulate〕サンゴと四放〔rugose〕サンゴ)の化石を研究し、光合成共生生物の存在を証明した。著者らは、サンゴに結合した窒素同位体を測定することで、サンゴが光合成共生生物からエネルギーを得ているかどうかを区別できる。その結果、研究対象とした床板サンゴには共生生物が存在したが、ほとんどの四放サンゴには共生生物は存在しないことが示唆された。これらの発見は、サンゴにおける最古の共生例の決定的な地球化学的証拠を提供するものである、と著者らが結論づけている。
Jung, J., Zoppe, S.F., Söte, T. et al. Coral photosymbiosis on Mid-Devonian reefs. Nature (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08101-9
doi:10.1038/s41586-024-08101-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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