気候変動:プライベート航空による二酸化炭素排出量の大幅な増加
Communications Earth & Environment
2024年11月8日
2019年から2023年の間に、プライベート航空による二酸化炭素(CO2)の年間排出量が46%増加したことを報告する論文が、Communications Earth & Environmentに掲載される。また、この結果から、プライベート航空を日常的に利用する一部の個人は、平均的な個人と比較して年間で約500倍もの二酸化炭素を排出している可能性があること、そして、COP28や2022年のFIFAワールドカップなど、特定の国際的なイベントの周辺で排出量が大幅に増加していることも明らかになった。
プライベート航空は、エネルギー集約度が高く、乗客1人当たりの二酸化炭素排出量は商用フライトよりもはるかに多いが、世界の人口の約0.003%の人々に利用されている。しかし、世界のプライベート航空の真の規模や排出量は、現在、十分に理解されていない。
Stefan Gösslingらは、2019年から2023年の間に、登録されたビジネスジェットタイプのプライベート航空機25,993機が運航した18,655,789便のプライベートフライトのフライトトラッカーデータを分析した。これは、プライベート航空の大部分を占める。次に、航空機のモデルの公表されている燃料消費率と飛行時間および軌道を組み合わせることで、各フライトの二酸化炭素排出量を算出した。その結果、2023年にはこれらのフライトによる直接排出の二酸化炭素が累計で約1,560万トンに達することが判明した。これは、1フライトあたり平均約3.6トンのCO2排出量に相当する。また、これは、2019年と比較してプライベート航空による排出量が46.0%増加したことを意味し、2023年の商用航空による総排出量の約1.8%に相当する。
著者らは、主要な国際イベントは特に多くのプライベートフライトと関連していると指摘している。例えば、COP28では644便のプライベートフライトが運航され、4,800トンのCO2が排出された。一方、2022年のFIFAワールドカップでは1,846便のプライベートフライトが運航され、14,700トンの二酸化炭素が排出された。また、著者らは、2023年に最も排出量の多い個人らの航空機の固有の尾翼番号のフライトデータに基づいて、それぞれが2,400トンの二酸化炭素を排出したことも指摘している。これは、2020年の1人当たりの平均排出量(CO2換算で4.5トン)のほぼ500倍に相当する。
これらの調査結果は、排出量と気候変動におけるプライベート航空の重要な役割を浮き彫りにしている。
Gössling, S., Humpe, A. & Leitão, J.C. Private aviation is making a growing contribution to climate change. Commun Earth Environ 5, 666 (2024). https://doi.org/10.1038/s43247-024-01775-z
doi:10.1038/s43247-024-01775-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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