Research Press Release

惑星科学:嫦娥6号のサンプルが月の裏側の火山活動の年代を特定

Nature

2024年11月18日

嫦娥(じょうが)6号(Chang’e-6)ミッションで持ち帰ったサンプルの初期分析結果のひとつによると、月の裏側に着陸した嫦娥6号ミッションの着陸地点は、約28億年前に火山活動が活発だったことが分かった。この研究結果は、Nature に掲載され、この地域では玄武岩質の海(平坦な平原)で14億年以上も火山活動があったことを示唆している。

アポロ(Apollo)、ルナ(Luna)、そして嫦娥5号(Chang’e-5)のミッションによって地球に持ち帰られた月のサンプルにより、月の表側では40–20億年前に火山活動があったことが確認されている。しかし、月の裏側のサンプルが採取されていないため、この地域の火山活動の時期を確認することはできなかった。今年の初めに、嫦娥6号ミッションは、月の地殻が最も薄い南極エイトケン盆地(South Pole–Aitken basin)の北東部に位置するアポロ盆地(Apollo basin)からサンプルを採取し、月の裏側の火山活動を研究する機会を提供した。

Qiu-Li Liらは、嫦娥6号が採取した2つの土壌サンプルに含まれていた玄武岩(火山岩の一種)の破片を分析した。鉛同位体を測定してサンプルの年代を特定する鉛・鉛年代測定法と呼ばれるプロセスを使用し、著者らは108個の玄武岩の破片を分析した。それにより、高アルミナ玄武岩の破片の1つが約42億年前のものであることが判明した。しかし、調査された玄武岩の破片の大半は、約28億年前に形成された一貫した年代を示していた。著者らは、これは嫦娥6号の着陸地点における主な火山活動の年代を表しており、月の表側から採取したサンプルの観測からは認識されていない、驚くほど若い噴火であることを指摘している。

doi:10.1038/s41586-024-08382-0

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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