Research Press Release

気候変動:パリ協定を達成するために、CO2の受動的吸収を計算から分離する

Nature

2024年11月19日

人為的な総排出量を算出する際に、受動的なCO2(二酸化炭素)吸収が除去としてカウントされる場合、パリ協定の温度目標は達成できない可能性があると指摘するPerspectiveが、Nature に掲載される。また、Perspectiveは、パリ協定の長期温度制限を遵守するすべての組織は、地球規模での地質学的ネットゼロ(Geological Net Zero)を共同で達成する計画を立てる必要があると主張している。

二酸化炭素の排出量は、能動的な除去によってバランスが取られるまで、地球温暖化を推進し続けることになる。気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)の評価報告書で使用されている除去の定義では、人為起源の二酸化炭素の除去の評価において、人間活動に直接起因しない二酸化炭素の自然吸収を明確に除外している。しかし、各国の温室効果ガスインベントリーを含む多くの他の報告システムでは、「管理された土地」(各国が自主的に決定)で自然システム(森林など)による二酸化炭素の吸収が行われた場合、それを除去として含めることを認めている。

Myles Allenらは、二酸化炭素除去量の算出に受動的吸収を算入することを認めると、パリ協定の目標が達成できない可能性があると主張している。著者らは、受動的吸収を除去として算入すると、地球温暖化を止めるのではなく、むしろ温暖化を遅らせることになると指摘している。著者らは、受動的吸収の役割をより明確に区別するために、排出量報告と目標において土地管理カテゴリーを細分化すべきだと提案している。また、主張される除去量は可能な限りすべて受動的吸収量に加えて報告すべきであるとし、受動的炭素吸収源の保護に資源を割り当てるための新たなメカニズムを提案している。

さらに、Allenらは、二酸化炭素排出量を制限する今後の目標は、化石燃料による二酸化炭素排出量1トンにつき、同量の二酸化炭素を恒久的に固体地球に還元する地質学的ネットゼロの達成を考慮すべきであると提案している。著者らは、排出削減に加えて、2030年代半ばまでに、発生する二酸化炭素排出量の10%を地質学的に貯蔵する必要があり、今後20年間でこの貯蔵割合をさらに10倍に増やすために、今から投資を行う必要があると提案している。野心的ではあるが、著者らは、これは達成可能であると主張している。

  • Perspective
  • Published: 18 November 2024
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  • Allen, M.R., Frame, D.J., Friedlingstein, P. et al. Geological Net Zero and the need for disaggregated accounting for carbon sinks. Nature (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08326-8
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doi:10.1038/s41586-024-08326-8

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