化学:光を使って永遠の化学物質を分解する新しい方法
Nature
2024年11月21日
光活性触媒を用いてポリフルオロアルキル化合物およびペルフルオロアルキル化合物(PFASs:poly- and perfluoroalkyl substances)を分解し、よりリサイクル可能な副生成物にする2つの新しいアプローチを報告する2つの論文が、Natureに掲載される。
PFASは、耐久性があり、水、油、汚れ、および熱に強いため、多くの日用品に一般的に使用されている。しかし、この耐性をもたらす炭素–フッ素結合は分解されにくく、PFASは環境中に残留することから永遠の化学物質と呼ばれている。現在のPFASのリサイクル方法は限られており、強力な化学薬品や高温を必要とする。
Yan-Biaoらは、光活性触媒を用いてPFASを分解する新しい方法を報告した。この触媒は光を吸収し、そのエネルギーを利用してPFASに見られる強い炭素-フッ素結合を切断する。著者らは、これらの反応は40℃から60℃の温度で起こりうることを発見し、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene;PFASの一種)で実験したところ、炭素とフッ化物塩に分解した。分析を通じて、著者らはペルフルオロカーボン(PFC:perfluorocarbon)、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS:perfluorooctane sulfonic acid)、ポリフルオロオクタン酸(PFOA:polyfluorooctanoic acid)を炭酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩に分解することにも成功した。これにより、製品中のフッ化物を塩として簡単にリサイクルできるようになるという。著者らは、比較的低温でこのプロセスに使用できる他の光活性触媒について、さらなる研究が必要であると指摘している。
2つ目の論文では、Garret Miyakeらが、永遠の化学物質を分解するための別の光吸収触媒を提案している。この青色光吸収触媒は、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(tetra-n-butylammonium fluoride)と組み合わせると、PFASの炭素–フッ素結合を切断することができる。著者らは、このシステムは容易に入手可能な化学物質を使用することができ、これらの難分解性化学物質を分解する新しい方法を提案できると述べている。
- Article
- Published: 20 November 2024
Zhang, H., Chen, JX., Qu, JP. et al. Photocatalytic low-temperature defluorination of PFASs. Nature 635, 610–617 (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08179-1
Liu, X., Sau, A., Green, A.R. et al. Photocatalytic C–F bond activation in small molecules and polyfluoroalkyl substances. Nature (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08327-7
doi:10.1038/s41586-024-08179-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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