Research Press Release
肺がんの新しい治療法の可能性
Nature Communications
2011年12月21日
肺がんに見られる炎症細胞が産生するサイトカインを阻害することで、肺がんマウスの生存率が高まることが判明した。この新知見は、この方法が肺がんの治療にとって有用な可能性を示唆している。 今回のS Finottoたちの研究では、ヒトの非小細胞肺がん検体で、T細胞リンパ腫と卵巣がんと同じように、サイトカインIL-17Aの濃度が高いことが明らかになった。IL-17Aは、腫瘍に浸潤するT細胞によって産生され、血管新生を高めると考えられている。Finottoたちは、肺腺がんのマウスモデルを用いて実験を行い、IL-17Aを阻害する抗体を投与すると、肺腫瘍の増殖が抑制されることを明らかにした。IL-17Aの阻害により、腫瘍内のT細胞のバランスと他のサイトカインの発現が変化していたのだった。この新知見は、IL-17Aの機能を阻害することが、肺がんの治療に有用な方法となる可能性を示唆している。
doi:10.1038/ncomms1609
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
医学研究:ブタから人間への肝臓移植の評価Nature
-
天文学:宇宙再電離の初期兆候Nature
-
化学: 永遠の化学物質の分解Nature
-
神経科学:マラソンランナーは脳内のミエリンの可逆的な変化を経験するNature Metabolism
-
加齢:健康的な加齢のための食事パターンの特定Nature Medicine
-
神経科学:鳥の脳が明かす言語の秘密Nature