Research Press Release
コハート高原のキャタピラー状の動き
Nature Geoscience
2012年1月16日
1992年5月20日に、パキスタンのコハート高原の地下でほぼ水平の断層面を持つマグニチュード6.0の異常な地震が発生したとの報告が寄せられている。このことは、これまで地震の危険があると注目されてこなかった地域であるこの高原の地下で、将来地震が起きる可能性があることを示唆している。 R Bilhamらは、地震学および人工衛星データを用いてこの地震の際に生じた変形を評価した。普段は、高原は大地震を起こすことなく南向きにクリープして動いている。このゆっくりとした動きは、潤滑剤として働く断層すべり面上の粘性層の存在により調節されていると考えられている。しかしながら、地震時におけるこのほぼ水平の断層面上での破壊は、高原が局所的にその下の岩とつながっており摩擦がこれらの部分に集まっている可能性があることを示唆している。この結果は、高原がキャタピラー状の動きで進んでおり、非地震性クリープが進むにつれて地震の破壊が起きる可能性が増すことを示している。
doi:10.1038/ngeo1373
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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