【生態】道路沿いでの新生活に適応するサンショウウオ
Scientific Reports
2012年1月27日
米国北東部でスポテッドサラマンダー(キボシサンショウウオ)の集団が道路沿いでの生活に適応したと結論づける研究報告があった。その論文が、今週、Scientific Reportsに掲載される。 国際的な道路ネットワークは、この半世紀で拡大を遂げ、今も拡大を続けている。道路の生態学的影響については詳しく調べられているが、道路による進化上の結果はほとんど評価されていない。今回、S Bradyは、水たまりで繁殖する両生類のスポテッドサラマンダー(キボシサンショウウオ)について、道路沿いで繁殖することの影響を調べた。具体的には、スポテッドサラマンダーの典型的な繁殖地である天然の一時的な水たまり10か所(沿道環境が5か所、森林地帯が5か所)の間で、相互移植実験を行い、孵化幼生の生存、成長と発生を測定した。 沿道環境は、スポテッドサラマンダー胚の生存に大きな悪影響を与え、この結果は、沿道環境に由来する胚と森林地帯に由来する胚で差がなかった。沿道環境の水たまりで繁殖する場合の平均生存率は56%で、森林地帯の場合の平均生存率は87%だった。また、沿道環境の水たまりでは、沿道環境に由来する胚の方が森林地帯に由来する胚より生存率が25%高かった。 以上の結果は、道路近くの生息地を占有する生物種に対する道路の悪影響を示す新たな証拠といえる。また、たとえ小さい空間スケールであっても、局所集団の応答によって、人為起源の環境変化に対する許容能力に大きな差異があることを説明できることが、今回の研究で明らかになった。
doi:10.1038/srep00235
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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