Research Press Release
超安定高分子ガラス
Nature Materials
2012年2月6日
通常のアクリルガラスよりも密度が40%低く、経年劣化に対する安定性が非常に高いガラス状高分子膜が開発されたことが、今週のNature Materials電子版に報告されている。この新しい高分子ガラスは、軽量性と安定性が重視されるナノテクノロジーや生物医学の分野に応用されるようになるかもしれない。Rodney Priestleyらは、パルスレーザーでポリメタクリル酸メチル(PMMA)の凍結希釈溶液から分子を徐々に蒸発させ、蒸発分子を基板に付着させることによって、このようなガラス状高分子膜を作製した。PMMAは、自動車や建物、整形手術などに広く使用される一般的なアクリルガラスである。液体を急冷して作製した通常のPMMAガラス(特定の構造を持たない)と異なり、この新しいガラス状高分子膜は安定なポリマーナノ球から構成されることが、原子間力顕微鏡観察によって明らかになった。Priestleyらは、このような球状ナノ構造をとることによって、膜の密度が低く、熱的・動力学的安定性が高くなると考えている(通常のPMMAガラスと比較して、ガラス転移温度は40℃高く、ガラスから液体への変換速度は100分の1になっている)。Priestleyらは、PMMA以外の高分子からでも、パルスレーザー蒸着法で超安定ナノ構造ガラスを作製できるはずであると述べている。
doi:10.1038/nmat3234
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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