Research Press Release
脳の能力と胚発生期の経験との関係に光を当てる
Nature Communications
2012年2月29日
鳥類には、脳のそれぞれの半球で別々に学習された情報を統合する能力があり、その能力は、胚発生期の経験に依存していることが明らかになった。この研究成果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。 脳の特殊化(脳の左半球と右半球が異なる機能を果たすこと)には進化的有利性があると考えられているが、最適な情報処理のためには両半球の協調も重要だ。今回、M MannsとJ Roemlingは、光刺激に応答して脳内で非対称的に発生する視覚系を持つ鳥類における左右脳半球の協調を調べた。この研究では、鳥類の片目ずつに異なった組み合わせの2色の光を見せて学習させたところ、鳥類は、脳の右半球と左半球で別々に学習した情報を統合して、難しいパズルを解いた。MannsとRoemlingは、両半球間の協調の効率性が、胚発生期の経験に基づく特殊化の発生に依存していることを指摘している。例えば、暗所での胚培養によって得られた鳥類は、明所での培養の場合と異なり、片方の目や脳半球で独自に学習した情報の組み合わせを必要とする色の対の判別ができなかった。以上の新知見は、脳がどのように進化して、さまざまな課題を実行できるようになったのか、という点に関する理解を深めるものといえる。
doi:10.1038/ncomms1699
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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