気候変動否定論者を環境保護活動に参加させるための工夫
Nature Climate Change
2012年6月18日
気候変動緩和活動を社会にプラスの効果を生み出すものとして構成すると、気候変動否定論者が環境保護活動に参加する意欲が高まることが明らかになった。西側民主主義諸国では人為起源の気候変動を否定する国民の割合が増えており、専門家は、気候変動否定論者が気候変動緩和政策を支持するようになるためには否定論者の「宗旨替え」が必要だと考えているが、今回の研究結果は、そのような一般的な考え方に異議を唱える形になっている。詳細を報告する論文は、今週、Nature Climate Change(オンライン版)に掲載される。
P Bainたちは、2011年5~7月と2012年2月にオーストラリアで収集されたデータをもとに2つの研究を行った。第1の研究では、気候変動関連活動が社会にもたらす影響に関する考え方と環境保護の意思との関係を調べた。その結果、155人の気候変動否定論者が、気候変動関連活動によって人々が他人を思いやり、他人の面倒を見るような社会ができる(ぬくもり構成)と考え、経済的・技術的発展が促進される(発展構成)と考えた場合に、もっと環境に配慮した行動をとろうとする意思を持つことが判明した。そして、第2の研究では、気候変動関連活動を人間関係のぬくもりと社会の発展を高めるように構成する方法が、気候変動のリスクに重点を置いて、気候変動否定論者の行動意欲を高める方法(現実的構成)よりも効果的なのかどうかを調べた。その結果、全国代表サンプル(347人)において、ぬくもり構成と発展構成を用いることで、現実的構成を示された気候変動否定論者と気候変動支持者における環境保護的活動に参加する意思を持つ者の占める割合の差が3分の1縮まった。
doi:10.1038/nclimate1532
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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