Research Press Release
細胞に見つかった新たな抗酸化物質
Nature Communications
2012年3月7日
生きた細胞によく見られる化学物質が、強力な抗酸化剤として作用する場合があることを報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。酸化ストレスは、特に神経変性疾患で見られるが、この新知見は、細胞が酸化ストレスに対処する過程の理解に役立つと考えられる。 遊離酸素ラジカルは、細胞内で絶えず産生され、細胞内の抗酸化防御機構によって抑制される必要がある。これまでには、酵母を用いた研究で、抗酸化分子グルタチオンの先駆物質であるγ-グルタミルシステインという化学物質に抗酸化機能がある可能性が明らかになったが、その作用機序は明らかになっていなかった。今回、J Bolanosたちは、γ-グルタミルシステインが補因子(ヘルパー分子)として作用して、抗酸化酵素グルタチオンペルオキシダーゼ-1の機能を向上させていることを明らかにした。そして、γ-グルタミルシステインを多く含むニューロンの方が、酸化ストレスを誘発するさまざまな処置の影響を受けにくいこともわかった。さらには、神経変性マウスモデルを用いた実験では、脳内のγ-グルタミルシステインの産生量の多いマウスの方が運動機能が高く、神経損傷の程度が軽かったことも判明した。
doi:10.1038/ncomms1722
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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