【ウイルス】ヒトに関連するウイルスがコウモリから見つかった
Nature Communications
2012年4月25日
このほど、世界各地に分布するコウモリと齧歯類において新種のパラミクソウイルスが同定され、その中にヒトのはしか(麻疹)とおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)のウイルスと同種のものが含まれていることが判明した。こうした宿主動物種におけるウイルスの発生と拡大の過程を調べる研究で、このデータを用いると、ヒトや家畜における新種のパラミクソウイルスの出現の予測に役立つかもしれない。この研究結果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
コウモリや齧歯類のような動物は、特定のパラミクソウイルスの宿主であることが知られている。パラミクソウイルスは、大きなウイルスファミリーで、数種類のヒトのウイルスと家畜のウイルス(麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、パラインフルエンザウイルスなど)が含まれることがわかっている。こうした宿主動物にはウイルスの病原体が存在しているが、その悪影響は見られない。今回、C Drostenたちは、合計119種のコウモリと齧歯類を対象として、さまざまなパラミクソウイルスの保有宿主かどうかを調べた。今回の研究では、パラミクソウイルスの塩基配列解読が行われ、同じ動物種内での特徴の比較に加えて、異なる地理的領域間での特徴の比較も行われた。その結果、アフリカでヘンドラウイルスとニパウイルスを保有する宿主の証拠と野生齧歯類がセンダイウイルスを保有することを示す直接証拠が得られた。これらのウイルスがコウモリと齧歯類において同定されたのは今回が初めてだ。さらには、ヒト流行性耳下腺炎ウイルスと同種のコウモリのウイルスも同定された。
今回の研究結果は、哺乳類におけるパラミクソウイルスの研究をさらに前進させ、パラミクソウイルス科ウイルスの哺乳類宿主のグループ間の進化的類縁関係の解明を進めるうえで役立つ可能性を秘めている。
doi:10.1038/ncomms1796
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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