【社会進化】永遠の大親友は本当に「永遠」なのか
Scientific Reports
2012年4月20日
携帯電話の利用状況の大規模データベースを解析した結果を報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。この論文は、個々人の友人の好みについて、その男女差と一生にわたる変化の様子を明らかにしている。今回観察されたパターンは、男女の繁殖に対する投資戦略が一生の間にどのように変化するのかを反映しているのかもしれない。
R Dunbarたちは、19億5千万回の通話と4億8900万件の携帯メールのデータベースを解析して、親友についての好みと一生を通じた好みの変化を男女別に調べた。携帯電話での連絡頻度の高さをもとにして、各被験者の3人の最もお気に入りの友人を選び出し、この3人に焦点を当てて解析が進められた。「3人の最もお気に入りの友人」は、感情面での結びつきの優れた代理指標であることが、過去の研究で明らかになっている。
Dunbarたちは、若年層では、同じ年齢層の異性を「大親友」(連絡頻度の最も高い人、と定義された)に選ぶ傾向があり、その大親友が配偶者となる確率が非常に高いことを見出した。ところが、50歳頃以降では、女性にとって大親友だった男性の地位は第2位に下がり、これに代わって、より若い女性が大親友となった。例えば、自分の娘だった。これに対して、男性は、一生を通じて女性の大親友を持ち続ける可能性が高かった。以上の結果は、女性が異性との関係に高い関心をもつ時期が繁殖活動期と重なっている可能性を示しており、女性の方が、「つがいの絆」を作り出し、維持することへの投資に熱心なことを示唆している。そして、年齢を重ねると、女性の関心は、配偶者から若年の女性(娘と想定される)に移る。このことは、もしかすると、女性の繁殖戦略が配偶者選択から個体の繁殖、そして祖母としての投資に変化することを反映しているのかもしれない
doi:10.1038/srep00370
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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