Research Press Release
【古生物学】恐竜は絶滅前から減り始めていたのか
Nature Communications
2012年5月2日
一部の恐竜分類群は6500万年前の絶滅より前から長期的減少傾向にあったことを報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。恐竜は、火山活動と火球の衝突によって白亜紀末期に絶滅したと考えられているが、それが恐竜の最盛期における絶滅だったのかどうかは明らかになっていなかった。今回の研究では、少なくとも非鳥類恐竜の一部の分類群の個体数が絶滅事象の前から減少していたことを示唆する証拠が明らかになった。
今回、S Brusatteたちは、白亜紀後期における7種の主要な恐竜のサブグループの解剖学的構造とボディープラン(体制)の変動を全球スケールと地域スケールで計算し、生物多様性の増減を評価した。その結果、大型で、大量の餌を必要とする草食恐竜(ケラトプス科、ハドロサウルス上科など)の個体数は、白亜紀の最終段階で減少傾向にあったことが判明した。肉食恐竜と中型草食恐竜には、この傾向は見られなかった。
今回の新知見は、白亜紀後期における恐竜の進化が複雑で、普遍的な生物多様性傾向が見られないことを明らかにしている。その一方で、これらのデータは、少なくとも一部の恐竜分類群において、最終的な絶滅の前から形態学的変動の長期的減少が起こっていたことを示唆している。
doi:10.1038/ncomms1815
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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