Research Press Release

細菌のゲノム規模の効率的な遺伝子組み換え

Nature Methods

2012年4月9日

細菌の遺伝子組み換えをきわめて効率的に行う方法が、今週のオンライン版『Nature Methods』で発表される。その効率の高さにより、遺伝子研究やバイオ技術的用途のために代謝経路全体が再設計された特殊な細菌を短時間で作製することが可能になる。

多くの遺伝的変化を導入するのにきわめて有効な方法の1つとして、多重自動ゲノム工学法(MAGE)が挙げられる。これは、短いDNA断片を1本ずつ何回も繰り返して細菌の染色体に挿入する方法である。その工程は自動化されているが、きわめて短い変化(通常は任意の部位の最大3塩基までのDNA配列)に限定されており、多くの装置を必要とする。

Harris Wang、Duhee Bangたちは、目的とする部位の変化および近傍の抗生物質耐性マーカーに関して選択を行うことにより、MAGEの効率を大幅に向上させた。この共選択により、部位ごとに20塩基のDNAを挿入することが可能になり、反復のつど複数の変化が導入される確率が上昇した。

共選択MAGE(Cos-MAGE)を用いた研究チームは、同じ代謝経路の12遺伝子のプロモーターをわずか4日間で変化させ、実用的染料のインディゴおよび抗白血病因子のインジルビンの生産量を増大させた。効率が改善されたことにより、ロボット工学とは無縁の小規模な実験室でもゲノム規模の操作を行うことができるようになる。

doi:10.1038/nmeth.1971

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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