Research Press Release
【疾患】痛風の新しい分類法
Nature Communications
2012年4月4日
痛風の新しい分類を提案する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。この論文には、痛風に伴う関節の炎症の原因である尿酸の排泄低下の機構が記述されており、この過程には、尿酸排泄トランスポーターチャネルの異常が関与していることが示されている。痛風のサブタイプの分類を変更することで、異常な尿酸値の原因を正確に解明でき、これまでより効果的な治療法の開発につながる可能性がある。
痛風によくみられる特徴の一つが、高尿酸血症(血中尿酸値が高い)で、この疾患は、尿酸の産生過剰、腎尿酸排泄の低下、この両者の組み合わせ、と臨床的に分類されている。尿酸クリアランスは、その大部分が腎臓によるものだが、市田公美(いちだ・きみよし)たちは、痛風の分類において他の排泄経路も考慮すべきだという考え方を示している。今回の研究で、市田たちは、腎外での尿酸排泄の低下を尿酸産生過剰型高尿酸血症と分類するのは誤りであることを明らかにし、高尿酸血症については、腎外尿酸排泄の低下を含めて分類し直すことを提言した。
市田たちは、ヒトの高尿酸血症患者と高尿酸血症のマウスモデルにおいて、尿酸排泄トランスポーターABCG2の異常と腎外尿酸排泄の低下とが結びついていることを見出した。したがって、ABCG2は、尿酸値を下げる治療法における標的となる可能性がある。
doi:10.1038/ncomms1756
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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