【ワクチン】マウスに対するインフルエンザワクチンの経皮投与で高い防御効果
Scientific Reports
2012年4月13日
抗原が塗布されたマイクロニードルパッチ(微細針つきパッチ)を皮膚に貼りつけることが従来よりも効果的なインフルエンザワクチンの投与方法となりうることを示唆する研究結果が得られた。このマイクロニードルパッチによる投与方法は、マウスの免疫応答を向上させ、防御免疫の持続期間を長期化させることがわかったのだ。ただし、ヒトでも同じ結果が得られることを断定するには、さらなる研究が必要となる。今回の研究成果を報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。
現行のインフルエンザワクチンの多くは、肩の三角筋に目がけて投与されるが、大規模な抗原提示細胞のネットワークを含む皮膚の方が有望な投与標的かもしれない。この抗原提示細胞が、T細胞とB細胞を活性化させて適応免疫応答の誘導を助けるからだ。また、これまでの研究では、マイクロニードルパッチを用いた不活化インフルエンザワクチンの経皮投与によって免疫応答が向上する場合のあることが明らかになっていた。
今回、I Skountzou、D Koutsonanosたちは、マイクロニードルパッチを用いて、認可されたインフルエンザサブユニットワクチンをマウスに単回投与し、従来の筋肉内投与法と比べて、インフルエンザウイルス感染に対する防御作用が向上し、より長く持続することを明らかにした。この結果は、現在認可されているワクチンをマイクロニードルパッチで投与できる可能性を示唆しており、今後の臨床試験で裏づけが得られれば、最終的には、ワクチン接種率の増加とワクチン防御の向上にも役立つことが期待される。
doi:10.1038/srep00357
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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