風力発電所がその周辺の気温に与える影響
Nature Climate Change
2012年5月1日
米国内の特定の地域に設置された大型風力発電所が、その周辺の天候や気候に影響を与えている可能性が明らかになった。この結果を報告する論文が、今週、Nature Climate Change(電子版)に掲載される。この知見は、風力発電所の影響の解明を進めるうえで役立つと考えられ、風力発電の長期的持続可能性を確保するための効率的な適応・管理戦略の構築にも重要な意味をもつかもしれない。
化石燃料の燃焼によって生じる二酸化炭素は、地球温暖化の大きな原因の一つになっている。そのため、数多くの国々が、さらにクリーンな再生可能エネルギー源(風力タービンなど)への転換を進めている。今回、L Zhouたちの研究チームは、天候や気候に対する風力発電所の影響を解明するため、米国テキサス州に設置された大型風力発電所の周辺地域に関する2003〜2011年の人工衛星観測結果を解析した。その結果、データが収集された9年間について、風力発電所とその周辺で、10年当たり摂氏0.72度の夜間温暖化効果のあることがわかった。Zhouたちは、この温暖化の空間パターンが風力タービンの地理的分布と一致していることから、この温暖化の主たる原因として風力発電所を挙げた。
今回の研究によって報告された温暖化効果は局所的で、その背景にある陸面温度の大きな年次変化と比べれば小さいが、Zhouたちは、この研究で明らかになった重要な科学的論点については、今後、研究を重ねていく必要があり、注目も集めていくという見方を示している。
doi:10.1038/nclimate1505
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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