【言語】オンラインでのチャット行為は社会規範に従って行われている
Scientific Reports
2012年5月11日
オンラインのチャットルームでの約250万件の書き込みに関する定量分析が行われ、オンラインでのチャット活動は、ほとんどのユーザーが匿名であるにもかかわらず、他の形態のオンライン、オフラインでのコミュニケーションと変わらないことが明らかになった。また、ユーザーがオンラインのチャットに参加する際に社会規範に従う傾向があることも示唆された。こうした研究成果を報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。
我々がオンラインで過ごす時間はますます増えているが、オンラインのコミュニケーションにおけるユーザーの行動の根底にあるルールや感情の表現方法に関する評価は、ほとんど行われていない。ソーシャルネットワーキングサイトが盛んになる前は、ユーザーが伝統的な媒体以外の場で情報を交換し、それについての話し合いを行うための独自の迅速な方法が、インターネット・リレー・チャット(IRC)の各チャネルだった。今回、A Garas、D GarciaとF Schweitzerは、20のIRCチャネルの20,000人以上のユーザーによる約250万件の書き込みを分析した。書き込みのテーマは、音楽、スポーツ、政治など多岐にわたっていた。Garasたちは、こうしたオンラインで即座に行われる話し合いのコミュニケーション様式を調べて、チャットのテーマによってユーザーの平均応答時間やチャットでの感情表現が変化するのかどうかを明らかにした。
その結果、ユーザーが肯定的な感情や否定的な感情をとても持続的に表現する傾向を示していることが明らかになった。チャットのテーマが多彩であったこととユーザーの匿名性が保たれていたことを考えれば、これは意外な結果として受け止められた。IRCユーザーの大部分は、本名を明かしていないが、それでも一定の社会規範に従って行動していると考えられるのだ。例えば、自分の意見を中立的、あるいは肯定的な気持ちで主張する傾向が見られた。これは直接対決を避けるための方法の一つと考えることができる。また、さまざまなユーザーの感情表現に相関が認められた。これは、チャットルームのユーザー間に社会的な絆が存在することを示唆しており、オンラインでのコミュニケーションとオフラインでのコミュニケーションの類似性が確認された。
doi:10.1038/srep00402
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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