Research Press Release
【がん】放射線療法に耐性を有するがん細胞の特性
Nature Communications
2012年4月18日
マウスの研究で、放射線療法後も生き残るがん細胞を追跡調査する方法について報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。この新知見は、マウスの体内で生き残るがん細胞の研究を可能なものとし、放射線耐性がん細胞をもつ患者の治療法にも役立つ可能性がある。
固形腫瘍は、その中心部に酸素供給量の少ない(低酸素状態の)領域があり、この領域が放射線療法に対する耐性に関連すると考えられてきた。今回、原田浩(はらだ・ひろし)たちは、低酸素組織に関連するとされてきたHIF1α転写因子の有無によって細胞を標識した。そして、マウスにおいて、放射線耐性がん細胞を同定し、放射線療法後も生き残るがん細胞は、当初、HIF1α陰性だが、後にHIF1αの濃度が高いレベルに達することも明らかにした。また、このがん細胞が、生き残った腫瘍の血管に移動することもわかった。
今回の研究は、放射線耐性がん細胞の分子特性に関する新たな情報をもたらし、HIF1αを発現する細胞を標的とする戦略が、このがん細胞をもつ患者の治療に適している可能性を示唆している。
doi:10.1038/ncomms1786
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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