Research Press Release
血管組織形成のための糖テンプレート
Nature Materials
2012年7月2日
犠牲テンプレートとして糖ガラスを利用して培養組織中で血管網を形成する汎用的な高速鋳型法が、今週のNature Materials電子版に報告されている。この方法によって、生理的密度で機能を維持する培養組織足場のスケールアップが可能になるかもしれない。また、そのような足場材が治療用として用いられることになるかもしれない。
栄養と酸素を運び込み代謝副産物を運び出す血管網がないと、組織は機能を抑制する壊死性コアを迅速に形成する。しかし、実験室でかん流可能な3次元血管組織を構築するためには、複雑で時間のかかる手順が必要である。しかも、通常は使用できる材料と細胞の種類が限られる。Christopher Chenらは、グルコースとスクロースの混合物と3次元印刷を利用してガラス繊維のネットワークを作り、生細胞懸濁液とともに細胞外マトリックス中に入れた。研究者らは、マトリックスを架橋した後、細胞培地の中でガラス繊維を溶解させた。ガラス繊維がネットワークから流れ出すと管が残り、数分以内に血液をかん流させることができた。
研究者らは、この方法がいろいろな種類の細胞、細胞外マトリックス、架橋法に適合することを実証している。また、管の内面および管と管の間の部分において、ネットワーク形状と細胞タイプを独立して制御できることを示している。
doi:10.1038/nmat3357
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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