Research Press Release
植物はどうやって皮を作るのか
Nature Chemical Biology
2012年5月21日
植物の皮に見られる高分子「クチン」を作る酵素が、今週のオンライン版 Nature Chemical Biology の掲載論文で発表される。その知見は植物の研究に影響を及ぼすとともに、農業にも有用と考えられる。
植物のクチクラ、すなわち角皮は、水分を保持するとともに、植物体を外来物から保護するのに必要なものである。クチンという高分子はそのクチクラの主成分であるが、それがどのように作られるのかはこれまで明らかにされていなかった。クチンの合成ではGDSLという種類の酵素が役割を担っているのではないかと推測されていたが、GDSLの機能は多種多様であるため、特定の酵素を突き止めることは困難であった。
Jocelyn Roseたちは、クチンを産生しない変異型のトマト植物体を利用して問題の酵素を徹底的に調べ、それが確かにGDSLであることを明らかにした。その酵素が存在しないことによって予想どおりの基質が蓄積するようになり、in vitroの実験では、予想された機能と一致する形でその酵素がエステル分子の短い鎖を作る能力を持つことが明らかにされた。
doi:10.1038/nchembio.960
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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