Research Press Release

【生体材料】実験室で真珠母を作る

Nature Communications

2012年7月25日

真珠層(「真珠母」と呼ばれることの方が多い)を人工的に作製する方法を初めて報告した論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。このプロセスは、自然からヒントを得て考案されたもので、低コストの出発原料と持続可能な方法によって、虹色を発する強靭な皮膜を形成するコーティング剤を製造する道が開かれるかもしれない。

真珠層は、有機質と無機質の多層構造の生体材料で、その機械的強度と虹色発色性は、その個々の成分よりも優れている。今回、U Steinerたちは、自然の成長条件を模倣して、一層ずつ積み上げていく方法を用いて、炭酸カルシウムから人工真珠層を作製した。その結果得られた材料は虹色を発し、天然の真珠層よりも機械的靱性が優れていた。

今回、人工真珠層が開発されたことで、軟体動物における真珠層の形成過程、そして、実験室で人工真珠層の特性を向上させる方法に関する研究が促進されると考えられる。

doi:10.1038/ncomms1970

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度