Research Press Release
気候の予測可能性の低下とカエルの病気
Nature Climate Change
2012年8月13日
1日や1か月単位での気温変動の予測ができなくなったことで、病原性のツボカビに対するカエルの抵抗力が落ち、その結果として、世界の両生類の個体数減少が起こったとする考え方を示す論文が、今週、Nature Climate Change(オンライン版)に掲載される。また、この論文では、これと似た順化応答が他の宿主‐寄生者系にも影響を与えるのであれば、疾患に対する気候変動の影響予測を行う際に気温変動の影響を無視すれば、不十分な予測となってしまう可能性を警告している。
これまで、非人為的な気候変動に生じた変化が動物の疾患発生率に与える影響を調べた研究は非常に少なかったが、今回、T Raffellたちは、室内実験と中南米での野外調査データを用いて、この問題に取り組んだ。その結果、ツボカビ(Batrachochytrium dendrobatidis)に対するカエルの感受性が、気温の変動とその予測可能性の程度によって影響されており、予測できない変化が多くなると、適応行動の機会が制限されることが明らかになった。
そして、Raffellたちは、カエルの皮膚で増殖するツボカビの応答が、実験室で培養されたツボカビの増殖パターンと逆であることを指摘して、疾患の動態を決定するうえで、宿主と寄生者の相互作用が重要なことも示した。
doi:10.1038/nclimate1659
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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