Research Press Release
硫化物に汚染された古代海洋
Nature Geoscience
2012年8月13日
2億百万年前の三畳紀末期に起きた大量絶滅事件の際には、浅海は硫化水素によって汚染されていたと、今週号のNature Geoscience (オンライン版)に発表された論文が報告している。汚染によってジュラ紀初期の海洋生態系の回復が遅くなった可能性がある。
Bas van de Schootbruggeたちは、三畳紀末期に起きた大量絶滅事件における浅海海洋生態系を、その当時に形成された岩石中に保存された情報を用いて繋ぎ合わせた。彼らは、硫化水素で成長する細菌が存在した証拠を見つけたが、これは海洋が硫化水素に富んでいたことを示唆している。このような特定の細菌は硫化水素で成長するが、ほとんどの海洋生物にとっては毒物であり、大部分はこの時代に絶滅したことが知られている。
doi:10.1038/ngeo1539
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
生物学:全ヒト細胞アトラスの作成Nature
-
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
健康科学:イカに着想を得た針を使わない薬物送達システムNature
-
化学:光を使って永遠の化学物質を分解する新しい方法Nature
-
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications