【神経科学】ニューロンによる母音音声の符号化
Nature Communications
2012年8月22日
ヒトの脳内における母音構音の高度に構造化された符号化について報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。この構造が発見されたことで、高忠実度での音声分節の復号が可能となり、麻痺によって失われた音声特徴の回復に重要な影響を及ぼすかもしれない。
音声生成に関与する脳内領域が同定されて長い年月が経っているが、ニューロン集団の発火パターンにおける音声特徴の基本的符号化については解明されていない。
今回、S Shohamたちは、ヒト小脳における母音構音の神経符号化を単一ユニットとニューロン集団レベルで調べた。そして、てんかんモニタリングのために脳内に電極を埋め込まれた11人の患者の脳内の側頭葉と前頭葉との716ユニットの活動を記録し、解析した。その結果、発話と一般的に関連づけられている上側頭回(STG)とブロードマン脳地図の11野と12野にわたる領域(rAC/MOF)において、発話に関連し、母音に応答するニューロンの割合が最も高いことが判明した。ただし、Shohamたちは、この2つの領域におけるニューロンのチューニングが大きく異なっている点も指摘している。すべての母音に応答するように幅広くチューニングされたニューロンは、STGにおいてのみ見つかり、1~2種の母音だけに活性化するように鋭くチューニングされたニューロンは主にrAC/MOFで見つかったのだ。
このように構造化された多段階符号化方式は、ブローカ野、運動性言語野など、その他の言語野にも存在しているが、この多段階符号化方式が協調的な音声生成に寄与する過程については、今後の研究に待たなければならない。
doi:10.1038/ncomms1995
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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