Research Press Release
氷床の溶解
Nature Geoscience
2012年8月27日
氷河期に北アメリカとヨーロッパの一部を覆っていた大量の氷床の融解は、複雑で海洋循環と北半球の気候に影響を及ぼすと今週号のNature Geoscience(オンライン版)に発表された2編の概説記事が示している。
Anders CarlsonとKelsey Winsorは、約2万年前と14万年前に起きた最近の二つの氷河期からの変化過程における北アメリカ東部、ヨーロッパ西部及びスカンジナビア半島の氷床分裂パターンを再現した。彼らは、氷床の後退速度とパターンは、氷床がどこに存在したかに依存することを見つけた:すなわち、陸上にのみ載っていた氷床は、太陽光の入射量の増加と温室効果ガス濃度の上昇に応答して定常的に分裂した。海洋に到達していた氷床は、急速な後退時期によって特徴付けられる遅れた分裂を示していた。
Torbjorn TornqvistとMarc Hijmaは、約8500年前と8200年前の北アメリカ氷床の後退により放出された融解水の二つの急速なパルスにより海水面が0.4から2メートル上昇したことを見つけた。融解水のパルスは、北大西洋循環の変化と関係があり、北半球の温度を急激に低下させた。彼らは、気候が温暖な状態では大西洋循環の急激な変化は北大西洋への淡水の放出が長く継続することを必要とすると示唆している。
doi:10.1038/ngeo1528
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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