【量子技術】仮想ネットワークで量子計算への道を開く
Nature Communications
2012年8月29日
光子のマルチモードエンタングル状態を生成する方法が考案された。これは、線形光学ネットワークを用いた方法で、高い汎用性を備え、リアルタイムでの高速スイッチングが可能となり、量子計算への利用可能性が浮上している。この研究成果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
量子技術は、粒子間のエンタングルメントを用いて、さまざまな機能を果たそうとしている。量子通信資源を取り扱う大型量子コンピューターは、これまで以上に大量のエンタングル粒子を必要とすることになる。そのため、光子を用いる方法の大部分は、複数の検出器と数多くの光学部品を用いて、細分化された光ビーム間のエンタングルメントを生成する必要がある。今回、S Armstrongたちは、単一の光ビームの異なる空間領域間のエンタングルメントを生成して、こうした問題を克服した。Armstrongたちは、一対のマルチピクセル検出器を用いて、一回の測定でこれらの異なる部分を捕捉した。そして、この情報は、複数のビーム装置のためにネットワークをエミュレートする、プログラムされた仮想ネットワークによってコンピューター処理された。Armstrongたちは、最大8モードの光ビームの間のエンタングルメントを実証し、最大4モードについてクラスター状態を生成した。
Armstrongたちの方法は、多数のエンタングルモードにスケールアップすることが可能で、また、このネットワークが仮想であることから、ネットワークを迅速に変えて、出力を最適化し、あるいは機能を切り替えることも可能となる。
doi:10.1038/ncomms2033
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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