小細胞肺がんエキソームの塩基配列解読
Nature Genetics
2012年9月3日
2つの独立した研究で、小細胞肺がん患者から採取した検体(82点)を用いて、小細胞肺がんのエキソームの塩基配列の解読と解析が行われ、いくつかの治療介入の標的候補が同定された。それぞれの研究結果を報告する論文が、今週、Nature Genetics(オンライン版)に掲載される。
小細胞肺がん(SCLC)は、悪性度の高い腫瘍で、予後が思わしくない。小細胞肺がんが外科手術によって治療されることは稀で、そのために、大量の腫瘍の体系的ゲノム解析を行うことが難しい。今回、2つの研究グループが、合計82点の小細胞肺がん検体を用いて、エキソームの塩基配列解読を初めて行い、新たに複数の遺伝子で反復変異を同定した。
今回、R Thomasたちは、小細胞肺がんのエキソーム(29例)の塩基配列解読を行い、ヒストン修飾に関与するいくつかの遺伝子の変異を同定した。そして、S Seshagiri、C Rudinたちの研究チームは、それぞれの小細胞肺がん腫瘍に由来する原発性小細胞肺がん腫瘍(36例)と小細胞肺がん腫瘍細胞株(17例)のエキソームの塩基配列解読を行った。その結果、キナーゼ、Gタンパク質共役受容体、クロマチン修飾タンパク質をコードする遺伝子など合計22個の遺伝子に有意な変異が見られることが判明した。また、小細胞肺がん検体の27%において、SOX2遺伝子の増幅が見つかった。このことからは、SOX2遺伝子が、小細胞肺がんの発がん遺伝子として重要な役割を果たしていることが示唆されている。
doi:10.1038/ng.2396
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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